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戸谷 誠 Makoto TOYA
1944年生まれ 東京都生まれ

 「絵を見るということは、その人の話を聞くということです。余計な先入観を持たずに、まずは絵の前に立って、その人の声に耳を傾けてください」そう語る戸谷は、作品を自由に見て感じてほしいという思いから、自身の作品にタイトルをつけない。アクリルガッシュで色鮮やかに描き出す自然の風景や動植物、人物のほか、ユーモラスな架空の生き物たちが混在する幻想的な世界は、見る人それぞれが多種多様に無数の物語を想像することができる。
 戸谷は、物心ついた頃から絵を描くことが一番楽しい時間であったという。高校生の頃には本格的に創作に打ち込むようになり、大学を卒業後は両親が営む薬局を手伝いながら絵を描いていた。家庭を持ち、一時は創作をしない時期もあったが、「残り少ない人生、描かなかったことを後悔したくない」と、現在は絵の創作だけに没頭する毎日を過ごしている。
 戸谷の作品には、わら半紙を繋げて描く作品と、約20mの障子紙に描く絵巻物の2種類がある。絵巻物は、描きたいものや空間を無限に広げることができることから創作を始めたそうだ。20代の頃から描き続けている絵巻は総数60巻を超えるが、全てが未完成であるという。「もっと良い作品になることを諦めたくない」という思いが創作の原動力となり、戸谷は今日も絵筆を手に、作品との対話を続けている。

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