アール・ブリュット

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記 富久 Tomihisa KI

1967年生まれ 鹿児島県在住

 丸太からダイナミックに彫り出された人物や動物たちは、愛嬌のあるユーモラスな表情が印象的である。ポスカやマッキーペンで丹念に塗り込まれたピンクや水色、黄色などのカラフルでポップな色彩は、陽気で和やかな空気を漂わせている。
記が所属する施設の工房で創作を始めたのは1995年頃からである。最初は職員と共に木の皿や器などを作っていたそうだが、職員からの勧めもあり、2010年頃からは自身の好きなものを木彫で創作するようになったという。
 自画像や好きな女性の職員、漫画のキャラクターや動物などモチーフは幅広い。作るものはその時の気分によって選ぶことが多く、記自身で撮影した写真を見ながら創作に取り組むそうだ。
 丸太への下書きから始まり、ノミと木槌を使って下書きの線に沿って彫り進め、線が消えたら書き足してまた彫る。この作業を地道に繰り返し、作品の大きさにより2週間から2ヶ月ほどかけて立体的な彫像に仕上げていく。
人が大好きな記は、創作の途中で何度も職員に話しかけて作品の説明をしたり、意見を求めたりするという。記にとって創作はコミュニケーションツールのひとつであり、好きな作品づくりを通じて好きな人と話すことに喜びや楽しみを感じているようだ。

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