アール・ブリュット

藤井 晋也 Shinya Fuji
1969年生まれ 北海道在住

 藤井さんがアートに心を寄せたのは、行き場の無い自分の想いを吐き出したかったからだ。
高校時代にマンガ雑誌の公募にシンボルマークのデザインがあり、応募したところ紙面に掲載。それがきっかけとなってデザインに興味を持ち、高校卒業後は北海道造形デザイン専門学校に進学し、商業デザインを学ぶ。
卒業後は海外での創作活動を夢見た。資金調達のために愛知県の自動車組立工場をはじめ札幌や東京でガードマンをしたが、不規則な生活と創作活動で体調を悪くし、ついには精神が不安定となり統合失調症となった。自宅での療養を経て、ようやく2007年から少しずつ絵を描けるようになったという。
 藤井さんはCDやラジオから流れる楽曲を聴きながら制作する。「音の波動から生まれてくる線」で構成した文様は、バリのイメージ、ロボット、昆虫、植物、貝殻など様々なものと組み合わされている。
 以前に拝見したものと比べると、さらに表現が固まって、独自の世界がよりリアルになっている。「どんどん聴覚が研ぎ澄まされるのです」と彼は言う。
(あさひかわ新聞 2012年8月14日号 工藤和彦「アール・ブリュットな日々」より抜粋)

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