澤田 真一 Shinichi SAWADA
1982年生まれ 滋賀県在住
それまで誰も観たことのないかたちで世界の人々を驚かせた澤田。澤田の粘土作品は、時とともにトゲの緻密さや形象が変化し続けている。陶芸を始めたのは施設に通うようになった2000年頃からである。初期はトゲがより鋭く、大きく、また密集はせず、配置もバラバラであったが、2010年頃からは、トゲが綺麗に整列することを好むようになった。澤田がなぜここまでトゲにこだわるのかはわからないが、彼の制作を長年見つめてきた職員によると、仲間の作品に影響され、次第に独自の制作へと転換させていったのだという。
モチーフには、鬼、龍、にわとり、ふくろう、たぬき、カエル、招き猫、お面、壺などがある。全身のトゲは整然と並び、凛とした品格を漂わせている。全体のフォルムや表情にはどこか柔らかさもあり、縄文土器を思わせる。
また自宅では、紙や身の回りにあるものを使い、乗り物を制作している。手でちぎった紙を幾重にも貼り合わせて一つひとつのパーツを形成し、スライド式のドアやバスの折り畳み式ドア、トラックの荷台部分の開閉部、ハンドルなど、すべてが実物同様に動くよう研究してつくられている。
澤田の制作には強い一貫性があるが、他者との関わりの中で変容しつつ、ゆるやかに新たな創造へと挑戦し続けている。
澤田の粘土作品は2013年第55回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展に出展された。