大川 誠 Makoto OHKAWA
1976年-2016年 大阪府出身
ものづくりを始める前の大川は、通っている施設や自宅のガラスを壊してしまうなど、常にエネルギーを持て余している様子であったという。2005年から創作活動を始めたことで、やり場のない感情は、ものづくりへと注ぎ込まれるようになった。そうした大川の溢れる生命力から生まれた彩り豊かな絵画やフェルト人形の数々は、あらゆる生物を擬人化したかのようなユニークな生き物がモチーフであり、温かみのある優しさと力強さを合わせ持っている。
羊毛を使った創作は2006年から始まった。羊毛はニードル針で刺していくことで固まり、立体的な形となる。最初は簡単なコースターなどから作り始め、独学で頭や手足、胴体を作るようになると、3、4ヶ月が経つ頃にはオリジナルの人形が出来上がったそうだ。40色以上の羊毛で作られたカラフルな人形たちは作家名になぞらえてMakoot(マクート)と名付けられ、作られた時期によりターバンやメガネ、長髪などの様々な特徴を持つシリーズがある。一体一体が色、形ともに強烈な個性を放ち、愛嬌のある表情には大川の遊び心のある性格が窺える。
病により40歳で短い生涯を閉じた大川が、約10年間で創作した膨大な絵画と400点以上のフェルト人形は、ヨーロッパを中心としたギャラリーでも収蔵され、現在も多くの人を魅了し続けている。