西山 洋亮 Yosuke NISHIYAMA
1988-2015 東京都出身
西山の作品は不規則性の美とも言えるだろう。描かれる線やかたちは、不規則で抽象的であり、西山という作家ならではの複雑な世界観を保持している。不規則がゆえに、線やかたちのバランスが整わない危うさを伴いながら、美しさを感じさせる画面が構成されている。
心臓疾患を抱えていた西山は運動をすることを制限されていた。そんな彼に養護学校の担任教諭が紙と鉛筆とペンを渡したのが絵画制作の始まりである。
その後、絵画教室に通いはじめたのをきっかけに、アトリエのさまざまな素材や画材を選んでは試す日々を送ることで、独自の創作の幅を広げていった。自宅では、大好きな兄の傍らに机を置き、夜中までに熱心に創作を行っていたという。
西山の絵画制作は、一度に一枚のページを描ききることはなく、スケッチブックのページを行ったり来たりしながら少しずつ描き足していく。随分前に描いたページに、数年後にまた少し描き足すということを繰り返すため、どの作品においても制作期間が定かではない。
言葉がほとんど話せなかった彼は、自由な空間を創作することで自己を表現できる喜びと、世界とつながる方法を見つけたのかもしれない。作品の制作数は60枚近くにおよび、画集『西山洋亮の世界』(2012年)にまとめられている。