アール・ブリュット

神山 美智子 Michiko KOYAMA
1977年生まれ 滋賀県在住

 画面を埋め尽くすように描かれた5mmほどの小さな人々。近づいて見ると、人の顔の向きや表情、髪型、体の形などが一人ひとり違うことに気づく。その多様な人の表現からは、人を描くことが楽しいと語る神山の思いが伝わってくる。
 創作の始まりは、本で見た戦国時代の屏風絵がきっかけである。最初は人の顔だけを描いていたが、次第に体を描くようになり、さらに人は小さく、緻密に描かれるようになっていった。
 作品は主に人物を題材に描いている。人や動物が好きだという神山は、特に人を描くことが好きだという。雑誌や本、図鑑などを見て、気になるページをモチーフにすることが多いそうだが、作品には本などを見て描くものと、神山の頭の中に見えてくるイメージ、そして自身が体験した物事や思い出などが混在した世界が描かれているそうだ。
 0.3mmの細いペンで大きなモチーフの輪郭線から描き、線の回りを小さな人で覆いつくすように描いていく。以前は黒のペンを使用したモノクロの作品が多かったが、最近はカラーペンでカラフルに描いている。1枚の作品には約1万3千人もの人々が描かれ、約1年をかけて1枚を完成させる。人の中には身近な友人や施設の職員、うさぎや猫などの動物や、アニメのキャラクターなどが登場することもあるそうだ。

撮影/高石 巧

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