アール・ブリュット

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木村 全彦 Masahiko KIMURA

1984年生まれ 京都府在住

 やわらかな自然光が差し込む施設のアトリエ、眺めの良い窓際が木村の創作場所だ。平日は毎日6時間、夢中で絵を描いている。 
木村は見えた色をくさび形文字のような形で捉え、くさび形の色の塊を増殖させるように描きながらモチーフの形を作り上げていく。その独自の技法により、木村の作品は画面から少し離れて見ることで描かれたものが浮かび上がるような特徴がある。
 木村が絵を描き始めたのは2008年頃。初期の作品にこのようなくさび模様は見られなかったが、1、2年後から影などに表れるようになり、少しずつ増えていったそうだ。
 モチーフは建物や乗り物、人物や動物など、家族と出かけた時に撮影した写真やインターネットで検索した好きな画像から、職員と相談して決めている。創作時は何度も写真と照らし合わせながら描き進めるそうだが、描き始めた場所から画面の端に辿り着いたところで自然と構図が決まるため、モチーフの一部分だけが描かれる作品も多い。常に左手で5、6本の色鉛筆を持ち、150色の色鉛筆をこまめに使い分けながら、水張りしたパネルやイラストレーションボードに高い筆圧で塗り重ねるくさび模様は、色鉛筆とは思えないほど色に深みと鮮やかさが感じられる。

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