西岡 弘治 Koji NISHIOKA
1970年生まれ 大阪府在住
西岡が描くのはクラシックやアニメソングの楽譜の模写である。音楽が大好きな西岡が鼻歌を歌いながら描く五線譜は、いつもゆるやかな曲線で流れるように右下へと向かう。右目の視力の影響で歪んで見えることに起因するようだが、音符や文字までもがのびやかな描線で踊るように、歌うように描かれる譜面は、音楽そのものが表現されているかのようである。
西岡は、2005年頃から通っていた施設でアート活動が始まったことを機に絵を描くようになった。文字や記号が好きだったことから、最初は新聞のテレビ欄や相撲の番付表などを写していたそうだが、ある時、施設に寄贈されたピアノと一緒に持ち込まれた楽譜を見たことがきっかけで、楽譜の模写を始めたそうだ。
何度も描いたことがある楽譜であっても、必ず作品の横に楽譜を置いて、譜面を何度も確認しながら丁寧に描き進めていく。インクが滲んだように見える線の圧みは、線を描いた上から書き足して太さを調整するこだわりがあるという。
全く制作しない時期もあったそうだが、現在は1日に2時間程度、平日はほぼ毎日楽譜を描いている。今までに描いた作品は1000枚以上にもおよび、最近は1日に1枚完成させるペースで精力的に制作に取り組んでいる。