舛 次崇 Takashi SHUJI
1974-2021年 兵庫県出身
彼は笑顔でアトリエに入って来る。眼の前に置かれたモチーフを嬉しそうにまじまじと見て、小首をかしげている。青い小さな紙箱「シュウチャンBOX」の中の画材をのんびりと確認する。と、やおらノッソリと紙に覆い被さり、いきなり黒いかたまりを描き始めた。舛次崇は、そんな描き方で様々な形を描く。
対象をじっと見てはいるが、その形をトレースしているのではなく、どうやらそのモチーフから受ける「感じ」を直感的に受信して、描いているらしい。その意識は、全体のバランスなどには向かわない。描き進んで紙の端が来ると、形成されていた形はそこで潔くプッツリと終わる。
予想もつかない緊張感をはらんだ構図。生み出されるユニークな形。絶妙な配色。それらは美術教育とは無縁のところで生まれ、屹立している。
2021年1月 永眠
(文・はたよしこ)