アール・ブリュット

実物の作品をご覧いただけます
加茂 賢一 Kenichi KAMO

1976年生まれ 佐賀県在住

 赤、青、黄、緑など、原色に近い明るい色の点描で描かれた動物たち。花屋で働いていた経験があるという加茂の色彩は、美しいと感じた花の色に影響を受けているという。特徴的なタイトルは、描いているときの心情や思い出などを重ね合わせながら考え、動物の表情などにもそれらを表現しているそうだ。
 加茂は20代後半頃に体調を崩して入院し、リハビリで絵を描いたことがきっかけで本格的に絵の制作に取り組むようになった。現在は仕事後に毎日2、3時間ほど自宅で絵を描いている。疲れている時は描きたくないと思う日もあるそうだが、描き始めると自然と楽しくなり、描くことは加茂の生活の楽しみのひとつだという。
 最近のモチーフは動物が多く、主に写真を基に描いているが、幼い頃に家族とよく訪れた動物園の記憶を思い出しながら描くこともあるそうだ。
制作は画用紙に鉛筆でモチーフの輪郭線を描き、油性マジックで線の内側を細やかな点描で着彩していく。初期の作品は背景の隅々までカラフルな色が塗られていたが、数年前からモチーフの周りは真っ白のまま残されるようになった。加茂曰く、余白は自身のイメージだと語る。真っ白い余白には、空間を自由に想像するための重要な意味があるようだ。

画像提供/佐賀県障がい者芸術文化活動支援センター SANC

Translate »
error: Content is protected