佐藤 朱美 SATO Akemi
1981年生まれ 北海道在住
18歳の頃、社会に自分が存在する意義、そして生きる意味を見出すことに苦悩した佐藤は、仕事をすることが困難になった。そんな彼女に母親が絵を描くことを勧めたのが、制作の始まりだった。自宅の居室に創作専用のアトリエスペースを設え、ほぼ毎日、朝から夕方まで制作に向かう。モチーフは、象、鳥、魚、恐竜、花などさまざま。そして、紙面には佐藤の美しい色彩感覚が表出する。作品のなかにひしめく形とポップな色彩との調和は、特有のルールに則って生み出されている。画材は主にアクリル絵の具や水性ペン。絵の大枠を象るモチーフは、図鑑などから自由に選んでいく。また絵のなかに現れる不思議なかたちと混じりけのない刺激的な配色は、彼女いわく「頭のなかに見えてくるイメージに従い、描いている」ということだ。すなわち、彼女が“考えて”配色を決めているのではなく、“(色が)見える”瞬間まで絵を眺めながら待っているのだ。色が“見える”瞬間が訪れるには、寸時の場合もあれば、半月程かかる場合もあるという。色が“見えてこない”時はその部分が最後まで残ってしまい、“見える”までじっと待つ。興味深いのは、彼女自身、どの部分から色がついていくかわからないということだ。佐藤の描画は“見える”というリレーを繰り返しながら、完成へと向かっていく。