嶋津 仁 Hitoshi Shimazu
1963年生まれ 京都府在住
嶋津の制作は、2008年に京都市ふしみ学園(知的障害を持つ人々のための通所施設)内でアート活動を開始したのと同時に始まった。彼の自宅は学園のすぐ近くにあり、歩いて通って来て夢中になって絵を描いている。
嶋津の興味は若いころから乗り物が中心である。特に電車が好きで、自宅には電車などの乗り物に関する本、おもちゃを多数持っている。そのため、制作を始めたころの彼の作品のモチーフは電車などが多かった。持参した本をながめて対象を決めると、大きな紙にクレヨンでそれを描いていった。モチーフは次第に動物や人の顔などにも及ぶようになり、嶋津の作品といえば、それらの正面を向いた顔が画面いっぱいに大きく描かれているのが特徴の一つとなった。クレヨンは、嶋津にとって重要な画材である。大胆に色を使うこともあれば、手でこすったりパレットナイフでひっかいて、繊細な表情を加えることもある。
以前から足が少し不自由だった彼は、近年は歩くことが難しい日もあり、アトリエに通う回数が減ってきている。それでも、訪れた時には夢中になって手を動かすのは依然と変わらない嶋津の姿である。